11/12/2016

【AC編】003 ニケとの出会い②






狭い家で申し訳ないと言いながら彼はあたしを自宅へ迎え入れてくれた。





「名前、まだでしたね。僕はニケといいます。
父ちゃんに兄弟がいることは聞いてたけどあまり話してもらったことないので正直びっくりしました。
伯父さんと会えて嬉しいです。
今日はどうしてこの街へ来たんですか?」




「リア君、アタシのこと話してないのね。
ちなみに伯父さんじゃなくてランでいいわよ。
アタシがこの街へ来たのはリア君に責任を取ってもらうためなの。」

会ったばかりの伯父が自分の父へ責任を求める話。
そんなもの突然聞かされてこの子はどう思うかしら。
あたしはニケ君に弟への恋心から始まる長い苦しみを語った。
こんな行動をして我ながらどうかしてると思う。




しかしニケ君は最後までその話を冷静に聞いてくれた。
一つ一つ頷きながら。




「アタシはあなたのお父さんを小さい頃からずっと好きで忘れられない。しかも弟よ。
そしてその責任を取ってもらいたいって言ってる。
こんな話よく冷静に聞けるわね。」




「確かに所々疑問に思いますが、
事情は人それぞれにあるので初めて聞いた段階では何も言えません。
それに、そんなにおかしな話でもないと思います。
弟に恋することもあるでしょう・・・」

頭の中で考えながら話している様子だった。
他に何か言いたそうに思えたが、そのまま黙ってしまった。




「思慮深いのね。こんな風に自分のことを話したのはあなたが初めてよ。
会ったばかりの人間なのに、ほっとしちゃった。
よかったら今日ここに泊めてくれないかしら?
ニケ君、アタシはあなたともう少し話がしたいわ。」




「いいですよ。好きなだけ居てください。
僕もランさんともっと話がしたいです。」

ニケ・クライス。あたしの甥っ子。
特別な出会いだった。